「夫に浮気された。どうやら浮気相手の女性と結婚するつもりらしい。」
「妻から一方的に別れを切り出された。調べたら会社の上司と不倫していた。」
こんなふうに、パートナーに不倫をされたとしたら、悔しさや悲しさから、どうにかしてパートナーや不倫相手に制裁を加えたいと考える人も多いでしょう。
パートナーのことも不倫相手のことも絶対に許せない!このままじゃ気が済まない!
など、不倫された側の怒りや悲しみはもっともです。
ですが、行き過ぎた制裁行為は、「プライバシーの侵害」や「名誉毀損」などになってしまい、逆に訴えられかねません。
結婚している場合や、婚約している場合、また籍は入っていなくても事実婚状態にある場合には、 不倫は不法行為とみなされ、法的にも償う義務が生じますが、どんな償わせ方をしてもいいというわけではないのです。
今回は、不倫の制裁方法としてどのような方法があるのか、 また法律上どこまでなら許されるのか、について解説していきたいと思います。
不倫が発覚した場合、懲らしめたい相手は、「あなたを裏切った配偶者」と「配偶者の浮気相手」のふたりでしょう。
ただ、配偶者はともかく、不倫相手とは直接話し合いができない、又はしたくないという人も多いでしょう。
そんな場合は、不倫相手に対して、慰謝料や謝罪などを求める内容の文書を、内容証明郵便で送りましょう。
内容証明というのは、送達した書面の内容がどのようなものであるか、いつ相手が受け取ったかなどを、日本郵便が証明してくれる書留郵便のことです。
つまり、相手が「そんな話は聞いていない」という言い逃れをすることはできなくなります。
文書には、配偶者との関係を断つ要求や慰謝料の要求、また支払に応じなければ訴訟など法的な手続きをとること、などを明記すると良いでしょう。
内容証明郵便自体に法的な効力があるわけではありませんが、その性質上、こちらの憤慨度合いや本気度が相手に伝わりやすく、不倫相手への警告の手段としては効果的です。
もし、不倫相手がこちらの要求を完全に無視してきた場合は、内容証明郵便を根拠に、法的な手続きをすすめることも可能です。
配偶者か不倫相手、またはその両者に対して、慰謝料を請求するというのが、最も有効な制裁手段のひとつです。
不倫の慰謝料の相場は、不倫の内容や詳細な事情によって幅がありますが、一般的に50万〜300万円程と言われています。
不倫は不貞行為と言われ、夫婦の貞操義務に違反する不法行為です。
そのため、損害賠償の一環として慰謝料の請求は法的に正当な権利であり、怒りの感情に任せて独自の制裁を行うよりも安全な手段と言えます。
また、金銭的な制裁はやはり当事者たちにとって大きなダメージとなるでしょう。
前項で紹介した内容証明郵便や当事者との話し合いで、合意に至らなかったりそもそも話し合いができなかった場合は、調停や訴訟などの法的な手段をもって慰謝料を求めることもできます。
ただし、ここで注意しておかなければならないことは、不倫の決定的な証拠がなければ慰謝料の請求は難しいということです。
配偶者や不倫相手が素直に不倫の事実を認めた場合は、特別な証拠がなくても慰謝料を支払ってもらえる可能性もありますが、法廷で不倫の慰謝料を求める場合は、必ず不倫の証拠が必要になります。
このときに必要になる不倫の証拠とは、配偶者と不倫相手が肉体関係をもった事を立証できる内容の証拠です。
とくに高額な慰謝料を請求したいなら、配偶者と不倫相手が何度も肉体関係をもっていたことを証明する必要があります。
そのため、慰謝料の請求を考えるならば、不倫に気づいた時点で早々に証拠集めを始めたほうが良いでしょう。
また、配偶者が不倫相手に「自分は独身だ」などと嘘をついて交際していた場合など、状況によっては不倫相手には慰謝料を請求できない場合もあるため、注意が必要です。
慰謝料を請求するにも、いろいろとお金がかかります。
不倫の証拠を押さえるために探偵に調査を依頼したり、裁判や示談交渉のために弁護士を頼る場合もあります。
また、裁判を起こす際などにも、手続きのために費用が発生します。
こういった探偵への調査費用や、弁護士への依頼費用なども、不倫の当事者たちに請求することができます。
ただし、裁判になると調査費用や弁護士費用が高額であると、請求自体が認められないケースが大多数を占めています。ですが、調査費用・弁護士費用などを最小限に抑えると、費用請求の支払いが認められている事例もあるようです。
費用を請求することで、当事者たちに
「割の合わないことをしてしまった」「バカなことをしてしまった」と不倫を後悔させることができるでしょう。
また、それだけの費用をかけて不倫の調査や慰謝料請求などの手続きに臨んだという事実から、不倫という自分たちの行為が、被害者をどれだけ怒らせてしまったのかという、事の重大さも実感させられるでしょう。
配偶者があくまでも遊びや割り切った関係として不倫をしていた場合、離婚を突きつけるというのは相当な打撃となるはずです。
とくに、バレなければ問題ない、万が一バレても誠心誠意謝ればなんとかなるだろう、と甘く見積もっていた配偶者にとっては、精神的にも実生活の面においても、さまざまな効果をもった制裁となるでしょう。
もちろん、あなた自身が離婚を望んでいない場合はこの制裁手段は使えませんが、自分を裏切った配偶者をもう信じることができない、一緒に居たくない、と本気で思うのならば、自分の心に正直になって離婚の意思を伝えましょう。
我慢をして夫婦関係を続けることは、あなたの精神衛生にも良くありませんし、ほとぼりが冷めた頃に再び不倫が繰り返される可能性もあります。
配偶者が離婚したくない、と言い募ってきたとしても、不倫の動かぬ証拠があれば、離婚することは比較的簡単ですし、慰謝料の請求ももちろんできます。
離婚して、幸せな人生を歩むことが、不倫をした配偶者への最大の制裁とも言えるでしょう。
パートナーに浮気をされたら、浮気したパートナーの親に相談して、浮気を止めさせたり、反省を促すことができる場合があります。
両親からの言葉なら聞く、親に頭が上がらない人には効果の高い方法です。
ただし、不倫というのは、一般的に当事者の社会的評判を下げる事実となるため、不倫の事実を第三者に公表することは名誉毀損に当たる場合もあります。
不倫したパートナーの両親に相談をしたことで名誉毀損に問われることはあまりありませんが、周囲の人たちに話が漏れないように配慮する必要はあります。
また、友人や会社の関係者、不倫相手の家族などに不倫の事実を公表するのはやめましょう。
不倫の相談は、弁護士や夫婦カウンセラーなど、守秘義務をもって対応してくれる専門家に頼るのがおすすめです。
今回は、不倫した人に加えることのできる制裁についてご紹介してきました。
罪はきちんと償ってもらうべきですが、償わせ方には注意が必要です。
たとえば不倫相手の自宅に内容証明郵便を送りつけるのは問題ありませんが、不倫相手の会社にまで送り付けると、名誉毀損になってしまいます。
ほかにも、不倫相手や配偶者、その家族や関係者などを、「不倫をやめないと痛い目にあわせる」、「慰謝料を払わないなら会社にバラす」などと脅すと、脅迫罪になってしまいます。
不倫された怒りや悲しみは当然ですが、制裁として脅しや嫌がらせをしてしまうと、かえって自分が悪者になってしまいます。
配偶者、または不倫相手に制裁を与えたいときは、やり方に注意し、自分の不利益になるような行動は慎みましょう。