身の回りでトラブルが起きてしまったときに警察に相談するべきなのか、それとも探偵に依頼する方が良いのか、判断が難しいケースも存在します。
ケースによってどこに相談すれば良いのかを把握していないと、警察に相談してもなかなか捜査に踏み切ってくれなかったり、一方で高い費用を支払って探偵に依頼したのにトラブルを解決してもらえなかったということになりかねません。
そこで、今回は探偵と警察の出来ることと出来ないことを解説していきたいと思います。
■ 扱うトラブルの違い
探偵と警察で最も大きな違いが扱うトラブルの内容です。
基本的には、
警察は刑事事件を扱い、
探偵は民事事件を扱います。
刑事事件とは、殺人や窃盗、傷害、詐欺などを始めとする犯罪の疑いがある事件のことです。
日本では、刑事事件に該当する犯罪を行った加害者に対して、被害者が私的な制裁を行うことは禁じられています。
そのため、被害者に代わって国が法律に則って犯罪者に刑罰を科します。
このときに、
国の捜査機関として刑事事件に介入することができるのが警察です。
刑事事件では個人と国が裁判で争うのに対して、民事事件とは基本的に私人同士のトラブルを指します。
離婚や遺産相続などの家族間の問題や、交通事故による損害賠償などのトラブルが民事事件に該当します。
しかし、警察には民事不介入という原則があるので、犯罪の疑いのない民事事件では捜査を行うことができません。
そこで
民事事件の調査を行ってくれるのが、探偵事務所の仕事になるわけです。
■ 警察に出来て探偵にできないこと
警察は刑事事件での捜査を行う法的権限がありますが、探偵が調査を行う上で法的権限を持っているわけではありません。
警察は捜査を行う権限を持っていることで、強制処分に踏み切ることが可能です。
強制処分の1つとして逮捕権があります。
現行犯であれば、探偵を始め一般人でも逮捕をすることは可能ですが、それ以外での
ケースで犯罪者を逮捕することができるのは
警察を始め逮捕権を持った一部の機関に限ります。
また、犯罪の証拠を確保するために家宅捜索や差し押さえといった手段も強制処分として行うことができます。
このように、
警察は法的権限を用いて犯罪や事故の捜査と取締を行っています。
一方で、探偵では探偵業法によって、尾行、張り込み、聞き込みといった調査方法が認められています。
しかし、これらの調査方法は警察のように法的権限を与えられているわけではないので、一般人以上の強制力は当然持っていません。
そのため、
探偵への依頼の多くは浮気調査や素行調査、人探し調査などの強制処分を必要としない調査活動になっています。
■ 探偵に出来て警察にできないこと
探偵に出来て警察に出来ないことは、事件が起きる前、
あるいは犯罪の証拠の有無にかかわらず調査を始めることができる点です。
これは依頼者側からすると、非常に大きな違いでもあります。
警察は犯罪の疑いがないと捜査を開始することができないため、
捜査の依頼があった場合、まずは事件性や犯罪の証拠の有無を確認します。
そのため、
実際に捜査を始めるまでに時間がかかってしまうことが多いのも事実です。
例えば、ストーカー被害が最終的に殺人事件へと発展してしまったケースだと、警察の初動の遅さが問題として取り上げられることがあります。
これは、ストーカーによる被害が民事事件と刑事事件のどちらにも当てはまる可能性があり、その判断が難しいことが原因の1つです。
警察は決して面倒だから捜査を行わないのではなく、
民事不介入の原則があるため犯罪の証拠を確認できないと捜査を開始することができないのです。
しかし、警察側の方から積極的に犯罪の有無について調べてくれるわけではないので、
警察に捜査をしてもらうためには依頼者側が犯罪の証拠を警察に示さなければいけません。
一方で、
探偵では事件性や犯罪の証拠の有無に関係なく調査を行うことができます。
扱うトラブルの違いについて、警察は刑事事件、探偵は民事事件とお話しましたが、探偵が刑事事件の調査を行うことができないわけではありません。
警察のように強制処分を用いた捜査はできませんが、探偵業法で認められた
調査方法であれば刑事事件でも調査を依頼することが可能です。
そのため、刑事事件でありながら犯罪の証拠が不十分と判断されて警察に捜査してもらえなかったケースでも、探偵であれば調査を依頼することができます。
ストーカー被害を始め、民事事件と刑事事件の判断が難しいトラブルだと、警察に相談しても捜査をしてもらえないというケースは実は珍しくありません。
そういった場合には、まずは探偵に依頼し、犯罪の証拠を調査してもらうことで警察の捜査を早めることができます。
まとめ
探偵と警察の違いや、それぞれの出来ることと出来ないことについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
もし、身の回りでトラブルが発生してしまったときに、どこに相談すれば良いのか分からないで悩んでいるなら、今回の記事を参考にしながら相談先を検討してみてください。